損害賠償債権とは|滞納された場合の対処法は?

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誰かから不当な被害を受けた場合、その損害に対して賠償金を求めることができます。

この権利を「損害賠償請求権」と言い、交通事故や不法行為、契約違反など、さまざまな場面で発生する可能性がある重要な権利です。

しかし、損害賠償が認められたとしても、相手方が支払わなければ実際に賠償金を受け取ることはできません。

本記事では、損害賠償債権の基礎知識に加え、相手方が支払いを滞納した場合の対処法について分かりやすく解説します。

損害賠償債権とは?基本的な知識と種類

損害賠償債権とは、他人の行為によって生じた損害について賠償金を求めることができる権利のことを指します。

この権利の目的は被った損害を回復することであり、損害を受けた側(債権者)が損害を与えた側(債務者)に対し、金銭による補償を請求することができ、裁判で認められた場合には強制執行の対象となる法的効力を持つようになります。

これは民法に基づいて定められており、主に「不法行為」と「債務不履行(契約違反)」を原因として発生するもので、原則として金銭の支払いによる賠償となります。

不法行為による損害賠償

不法行為とは、故意または過失によって他人の利益や権利を侵害することで損害を与える行為を指し、不法行為により損害を与えた場合には、その加害者が被害者に対して損害を賠償する義務を負います。

たとえば、交通事故や名誉毀損などがこれにあたります。

債務不履行による損害賠償

債務不履行とは、契約や約束によって発生した債務が実際に行われないことを指し、不履行によって損害が生じた場合、損害の賠償を請求できる可能性があります。

たとえば、雇用契約や安全配慮義務違反といった法的義務を怠ったことによる損害がこれにあたります。

債務者が損害賠償を滞納した場合のリスクと問題点

損害賠償の請求が裁判で認められたとしても、債務者が支払わないケースも少なくありません。

滞納が続くと、債権者は本来受け取ることができる賠償金を得られず、経済的にも精神的にも大きな負担を抱えることになります。

たとえば、医療費や修理費など、賠償金をあてにしていた費用が支払われないことで生活が困窮したり、債権回収のため強制執行などを行う場合には、裁判所費用や弁護士費用など新たな費用が発生したりすることも考えられます。

また、損害賠償債権には時効があり、原則として損害および加害者を知った時から3年または5年、権利発生から10年または20年で請求権が失効する恐れがあるため注意が必要です。

滞納時の対処法と法的手段

相手方が損害賠償金の支払いを怠った場合、まずは穏便な方法で交渉を試みますが、それでも解決しない場合には、法律に基づいた強制手段を検討することになります。

滞納時の対処法として、大まかな流れは次の通りです。

 

  1. 内容証明郵便の送付
  2. 任意交渉
  3. 支払督促または民事訴訟
  4. 強制執行

 

また、手続きが煩雑な場合や債務者の対応が悪質な場合には、早めに弁護士への依頼を検討しましょう。

1.内容証明郵便の送付

最初のステップとして、支払いを催促する書面を内容証明郵便として送る方法があります。

内容証明郵便とは、郵便局に宛先や差出人、差出日時などの送付情報を証明してもらうことができるもので、証拠としても有効です。

2.任意交渉

内容証明郵便による督促に対し、相手方が話し合いに応じる意思がある場合は、もう一度支払い方法や支払期限などについて確認します。

場合によっては、分割払いや支払期限の延長など支払条件の調整も検討し、可能であれば合意書を作成しておくと良いでしょう。

双方の署名・捺印があれば、万が一法的手段をとることになった場合に有効な証拠となります。

3.支払督促または民事訴訟

債務者が督促や話し合いに応じない場合は、簡易裁判所に対して支払督促の申し立てを行います。

相手方からの異議申し立てがなければ確定判決と同じ効力を持ち、強制執行が可能になります。

または、通常の訴訟を起こして損害賠償請求を再確認することも可能です。

4.強制執行(差し押さえ)

確定判決や支払督促が成立した後でも支払われない場合には、債務者の財産を差し押さえる強制執行が行えます。

差し押さえの対象となるものは次の通りです。

 

  • 給与や賞与
  • 銀行口座の預金
  • 不動産
  • 動産(自動車など)

まとめ

損害賠償債権は、他人から受けた被害に対して正当な賠償を求める重要な権利です。

しかし、賠償金の支払いが滞納されると、債権者にとっては深刻な問題となるため、早期の対応と適切な法的手段が損害回復のカギを握ることになります。

内容証明郵便から始まり、支払督促や強制執行など、手段は段階的に用意されていますので、状況に応じて選択する必要があります。

損害賠償債権の回収でお困りの場合は、法律の専門家である弁護士に早めに相談することをおすすめします。

LAWYER

弁護士 野村 優介

弁護士野村 優介

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  • 兵庫県弁護士会(54151)
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  • 平成24年 神戸大学 法学部 卒業
  • 平成26年 京都大学 法科大学院 修了
  • 平成28年 弁護士登録
  • 平成29年 山崎喜代志法律事務所 入所
  • 令和04年 野村優介法律事務所 開所

事務所名 野村優介法律事務所
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